2014年4月16日水曜日

2013年度例会


分科会名・日時・場所発表者・題 目
2013年度 田中 和彦(本学非常勤講師)
第2回 例会(考古学分科会)フィリピン共和国、ルソン島北部の土器作り調査―変化と継続―
2013年6月4日(火) 17:00~フィリピン共和国、ルソン島北部のカガヤン川流域の低地帯においては、現在もまだ土器を製作し、使用している村が見られる。その一つが、カガヤン(Cagayan)州、イグイグ(Iguig)町のアトル(Atulu)村である。
14号館4階 14-405教室発表者は、土器作りの長期的な変化に関心を持ち、1993年に調査を行ったアトル村で、2011年、2012年と93年に調査したのと同じ陶工とその土器作りについて調査を行った。その結果、粘土採集地の移動、調理甕製作の減少、調理甕製作の減少に伴う水入れなど部分的に破損した調理甕や破損した調理甕の一部(口縁部)を再利用した道具の消失といった変化を明らかにすることができた。一方で、土製コンロや植木鉢といった器種は、継続的に製作され続けていること、叩き板と当て具石及び叩き石という道具は、現在も使われていることが判明した。
また、長期的な時間の経過に伴う変化の他に、世代間の製作技術、製作する器種の違いにも着目して調査を行った。その結果、現在50代までの世代は、叩き技法を用いて様々な器種を製作するが、20代の世代は、型作り法のみによって、植木鉢のみを製作することが明らかになった。
 本発表では、上記の諸点について報告を行った上で、こうした土器作りの変化と継続の背景にも検討を加えたい。




2013年度


松本 建速(本学考古学専攻教授)
第1回 月例会(考古学分科会)トルコ共和国サラット・ジャーミー・ヤヌ遺跡出土土器の胎土分析的研究とその周辺
2013年4月23日(火) 17:00~―土器の原料はどこから得たのか?―
14号館4階 14-406教室 トルコ共和国東部にある、サラット・ジャーミー・ヤヌ遺跡は土器新石器時代の最古段階に属する。報告者は、2006年以来、三宅裕氏(筑波大学)を隊長とする調査に参加し、当遺跡出土土器の胎土分析的研究に従事してきた。また、調査時には、遺跡周辺でおこなわれている現代のパン焼き竈(タンドール)築造の民俗を観察、竈用粘土の採掘地からの粘土の採集などもおこなってきた。 最近ようやく、それらの化学分析と鉱物学的観察をひととおり終えたので、その成果の一部を報告する。同時に、粘土利用例として、現在のタンドール築造の民俗を紹介したい。

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